【超映画批評】アイアムアヒーロー

今橋です。

 

!!!アイアムアヒーロー!!!

前評判がとんでもなくいいので、ひさびさにこういった邦画を劇場に見に行った。というのも最近ジャ○ーズやら、エ○ザイルやら、なんとか48とかがぴょンぴょンはねてるだけのお遊戯会映画があまりに多すぎるからだ。おまけに人気漫画の実写化!ときたらこれはもう駄作フラグがびんびんに立っている。国連本部並みに立ってる。映画館の無料優待券がなければこの映画にも¥1500(学生料金)をささげて観ることはなかっただろう。

劇場に入れば脳みそにポップコーンがつまってそうなアホな民衆たちがギャーギャーとわめいて騒々しい。おいそこのカップル、劇場はきさまらのイチャラブスポットじゃないぞ。しかもなぜ隣に座ってるんだ!何でこんなに空いてるのに真隣に座ってるんだ!

映画が始まる前から気持ちは既にエンドロールである。それに拍車をかけるのが予告編の前のCM。テレビで流れてる耳障りな広告が劇場の大画面でやってくるのだ。臨場感がとんでもない。なぜセブンイレブンのおにぎりを頬張る音を5.1サラウンドで聞かなきゃならねえんだ。レベレベレーベー…なんで金払ってるのにCM見せられるのだろう。(払ってないが)

デットプールとシン・ゴジラの予告が見られたので怒りは収まった。

話はそれたが本編である。原作を読んでいないので完全に前評判ありきの鑑賞になる。結論から言えば、おもちろかったです!

静かに始まる日常のシーンから、それが少しづつ壊れていく描写、その導入がとてもうまく描けていると感じた。事態が急転直下で進むのではなくじわじわと日常から非日常にひきずり込まれていく不気味さ、この背筋のぞわぞわする感じは海外の同系映画にはない恐ろしさである。

アクションシーンは派手ではないがストーリーを彩るに十分なものだった。実車を用いたカーアクションは迫力のあるものだし。臓物のぶら下がるゾンビたちも1人1人?丁寧に描かれている。ちょうど同じ時期のテラフォーマーズ(笑)の凄惨たるCGアクションに比べればすばらしいものだ。

一方ストーリーとしては典型的なパニックものであり、これといって新しさはない。やばくなる→逃げる→だれかに助けてもらう→本当に怖いのはその人→結局襲われる→ピンチを切り抜ける→生き延びてめでたし。 どうだろう、だいたい敵が宇宙人でもゾンビでもソ連でもこの大筋は同じだろう。本作もこの「パニック映画方程式」の例外ではない。なので純粋にゾンビパニック映画として期待してみれば、爆発はないし、濡れ場はないし、特に目新しいこともない。中盤に至ってはゾンビの多さに辟易し少し退屈である。宣伝では「新感覚アクション」と銘打っていたが「新感覚」を感じたかと言われれば特にない。

ただ、淡々とストーリーを展開する描写の上手さ、そして作品へのこだわりと何より一つ一つの演出を丁寧に仕上げていると感じた。どちらかというと「安心感」だ。従来の枠を外れず、しかしそのなかで既成のものを打ち砕こうとする勢いを感じる。本作は余るほど量産されてきた商業主義的な日本映画のなかに一つの挑戦としての価値があるだろう。

キャストも長澤まさみと有村架純(大好き)という容姿端麗ビックWヒロインでありながら劇中のキャラクターを損なうことのない演出と演技力。そしてこの二人にも負けない大泉洋の存在感。あぁ、かすみちゃんかわいい。

本作は(あくまで日本映画のなかでは)近年まれな佳作として評価できるものだろう。とはいえツタヤに行けばこの程度のゾンビ映画は100円そこらで借りられる。ハリウッドのB級ゾンビ映画にも追いつけなかった日本映画会で本作のクオリティはすごい。すごいんだ。ただやっぱり、ハリウッドはすげえ。

臓物が弾け飛ぶ過激な劇中描写に面食らったバカどもが多いようだが、本作を見て「グロイグロイ」しか感想が出てこないようなお花畑野郎は死ぬまで名探偵コナンでもみてろと。登場人物がエッチなこと叫んだくらいで凍りつく中学生カップルはフルメタルジャケットでもみしたろか?

つくづく映画をテレビの延長だと思ってみにくるノータリンどもが多くて困る。しかしこういう奴に限ってテラフォーマーズのみたいなクソ映画に惜しげなく金を捧げるんだから、邦画腐敗の悪循環の完成である。ほんとうに危険なZQNはこいつらだよ英雄くん。

帰りにセブンでコーヒーを買った。うまいんだこれが。おにぎりを許せる気がした。それではみなさん、おやすみなさい。

 

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